香りのバトンを繋ぐ

上野森美術館で特別展示されている
「蘭奢待(ランジャタイ」を見に行ってきました

東大寺正倉院に収められている香木で、
「天下の名香」とも言われ、
織田信長や足利義政、明治天皇など、
歴史上の人物が実際に切り取って
香を焚いたという伝説的な存在です
海を漂い、流木になっていくものは、
どこか朽ちていくイメージが強いけれど、
蘭奢待は時を経てなお、
深みのある香りを放ち続けている
しかもその香りは、ただ「良い香り」というだけではなく、
人の心を揺さぶるような、歴史や祈りが重なった香り…。
まるで木そのものが、
「ここに在り続けてきた物語」を語ってくれているようです
第一印象は甘くてフルーティー。
その奥にサンダルウッドのような深く落ち着いた香りが
しっかりと根を下ろしている…。
それはまさに、蘭奢待が何百年という時を重ねてきた証
その香りを通して、
静かに、しかし確かに、
「時代が移り変わっていくさまを、この木はずっと見てきたんだ」
ということを肌で感じられました
香りは目には見えないけれど、
確かに過去と今をつなぐ橋渡しをしてくれる存在。
蘭奢待の前に立って香りを感じたその一瞬は、
まるで時空を超えて
歴史と自分がふっと重なったような
不思議な体験でした
遥か昔の海から生まれ、
数えきれない時を重ねて、
いくつもの時代を生き抜いた蘭奢待。
その香りが今、目の前に現れたということ自体が、
奇跡のような「つながり」
そのつながりを感じながら、
今この瞬間、自分がどんな香りを放ち、
誰と、どのように未来へと手渡していくのか
「繋がれた香りのバトン」
まるで香りそのものが、
人から人へ、時代から時代へと手渡されてきた
目には見えない宝物のように感じられます
そしてそのバトンを、
香りづくりや施術、言葉を通して
どんな想いで、どんな形で次へ渡していくか
そのバトンを受け取った人が、
また誰かへ手渡したくなるような、
あたたかい循環を生み出せたら…。
その香りは、きっと目には見えないけれど、
確かに心に残り続けるはずです。
あなたの中にも、
誰かから受け取った「香りの記憶」が
そっと眠っていませんか?
それを次に渡すとしたら、
どんな形で手渡してみたいですか?
私自身も、その循環を広げていきたくて
香りとケアを通じて活動しています。
よかったら一緒に、この香りの物語を紡いでみませんか?

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山口華子
資生堂で20年 香料研究に携わる。
現在は神奈川県・湘南逗子でアロマ・石けん教室とサロンを運営
嗅覚とタッチケアで心身に寄り添うケアを提供